酪農コラム/吸収不良性下痢、ロタウイルス下痢症の対処方法
コラム
~ 吸収不良性下痢、ロタウイルス下痢症の対処方法 ~
ロタウイルス下痢症は生後2週間以内の発症が多く、特に寒冷期にはクリプトスポリジウム症との複合感染で重篤化するケースも多々あります。
クリプトスポリジウム症と同様に抗生剤が効かない下痢症ですので対処療法メインで治癒を目指しましょう。
- 治療方法 -
クリプトスポリジウム症同様に抗生剤は2次感染予防として使用し、仔牛の状態を見て解熱鎮痛剤を上手に使用しましょう。
市販のA飼料にはロタウイルス抗体の入った製品(グローアップ88・カーフサポート6等)があり、発症牛に対して規定量の2~3倍量を3日間程度給与すると早期の改善が見込めますので、重篤化する前に思い切って給与してみて下さい。
- 経口補液剤 -
ロタウイルス下痢症もクリプトスポリジウム症同様に吸収不良性下痢ですので、オオバコ末入りの経口補液剤で脱水の改善を目指します。
- 断乳・回復期 -
クリプトスポリジウム症と同様の対処方法になりますので省略させて頂きます。
- 予防方法 -
一般論としてロタウイルス下痢症の発症の有無、症状の程度は初乳から獲得した抗体の量で差がでると言われていますので、初乳給与は確実に行います。
その後の発症しやすい生後2週齢までの管理は体力をつけられる哺乳量、免疫機能を活発にするタンパク質量を確保したうえで、生菌剤・ビタミン剤・抗体含有製品の選定・使用になります。
現在のカーフゲートでは生菌剤のビオスリーエースをベースとして、下痢・肺炎に対し抗病性の底上げ目的でビタミンB群とβカロテン(カーフインパクト)を追加しています。一般的なビタミンAD3Eは移動や除角などのストレスが無い場合は粉ミルクやスターターに含まれている量で問題ないと思います。
- おわりに -
10~15年前にはビムロンというインターフェロン製剤が手に入り、ロタウイルス下痢症発症牛に給与すれば早期に回復する簡単な下痢症であったのですが、ビムロンを入手できない現在は少し厄介な下痢症の一つと言えます。
代替策として鼻腔粘膜ワクチンTSV-3の作用にあるインターフェロン誘導作用での予防も試みましたがビムロンの代わりとはなりませんでしたので、ロタウイルス下痢症に対しては初乳抗体と抗体含有製品を上手に使用して発症をコントロールしましょう。
次回はコクシジウム症についてです。