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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/蛋白質2~乳蛋白の合成(2)

ホエー
 チーズを製造するとき凝固しなかった液体はホエーと言います。ホエーの中には、主に乳糖、そのほかβラクトグロブリン、αラクトアルブミン、血清アルブミン、免疫グロブリンが含まれています。

 アルブミンと免疫グロブリン以外は、殆どが血液から吸収されたアミノ酸から乳房で合成されます。ラクトアルブミンは反芻動物に多く、ラクダと人間、モルモットには有りません。αラクトアルブミンは殆どの哺乳動物に存在し、乳糖合成に大きな影響を与えます。(αラクトアルブミンが高い⇒乳糖が高い⇒乳量が増加)

 免疫グロブリン(Ig)はは初乳に多く含まれ、IgG(80%)・IgA(8~10%)・IgM(5~12%)に分類されます。

酪農コラム/蛋白質2~乳蛋白の合成(2)

NPNとMUNの関係
 血液及び乳汁のNPNは主に尿素であり、血液中ではBUN(Blood Urea Nitrogen:血中尿素態)、乳汁ではMUN(Milk Urea Nitrogen:乳汁尿素態窒素)と言われます。ルーメン内のアンモニア濃度とBUN,MUNの濃度は似ています。

 ホルスタイン種において、MUNの値は5~20%mg/dlの間で変動します。最適なルーメンのアンモニア濃度(11~13mg/dl)とMUN(10~12mg/dl)の値は似ています。うまくバランスの取れた飼料では、MUNの変動は10~12mg/dlに収まります。

 MUNの変動要因として、①過剰なRDPや②過剰なRUP、③RDPとNFCの不均衡が考えられます。過剰なRDPはルーメンでアンモニアへ変換され、血液中へ吸収され、肝臓で尿素へ変換後、最終的に血液や尿、乳中に現れます。RUPは小腸でアミノ酸に分解され血中に吸収されます。しかし、乳蛋白質の合成に必要なアミノ酸バランスが揃わなかった場合、吸収されたアミノ酸は肝臓でアンモニアに分解され、さらに尿素に変換されます。そのため過剰なRUPはMUNを上昇させる可能性があります。

 MUNレベルの解釈は注意が必要です。なぜならMUNは、飼料組成に加え、季節、品種、次数数、搾乳回数、分娩後日数、乳量、サンプリングのタイミング(午前VS午後)などの影響を受けるためです。

 水の摂取量の変化もMUNの値に影響を及ぼします。多量の水を摂取し尿の量が増加すると、尿素が尿中から排泄され、MUNレベルは低くなります。もし牛が脱水しているのであれば、MUNの値は高くなるでしょう。ホルスタインは一般的に他の品種に比べMUNレベルは低いといわれています。また暑熱による飼料摂取量の低下もMUNの低下を引き起こす可能性があります。

 若草および早刈りのサイレージ、高い非蛋白態窒素を含む飼料用副産物、尿素の多量給与により、MUNレベルは高くなります(>14mg/dl)。蛋白質が制限された飼料を給与された時、MUNレベルは低くなります(<10mg/dl)。MUNの変動は飼料中のNPNとTPの過剰や不測のシグナルであるため、飼料設計を見直す際には、MUNをしっかり見るべきです。

 蛋白質の過剰給与は経済的に高価であり、生産性を低下させ、環境への窒素排泄を増加させます。蛋白質不足は乳量の低下を招きます。MUNの変動をモニターしながら、飼料設計を見直すべきです。

酪農コラム/蛋白質2~乳蛋白の合成(2)

現場の事例とまとめ
 日本の様々な地域(北海道~九州まで)の乳検を分析すると、乳蛋白は2.9~3.6%の範囲でした。一般的な北海道の牧場は乳蛋白が低く、南の牧場は乳蛋白が高く見られます。これは粗飼料と濃厚飼料の違いが考えられます。北海道はサイレージ(コーン、グラス)がメインで、南のほうは輸入粗飼料がメインです。輸入粗飼料と比較してサイレージの場合は純蛋白が低く、NPNが高いです。北海道は南のほうと比較して濃厚飼料の量は少ないため、サイレージを多く給与するとMUNは高くなる可能性があり、乳蛋白合成に悪い影響を与えている可能性があります。牛の健康と乳量を維持するためにも、MUN、乳蛋白、乳糖をきっちりモニターするべきです。

酪農コラム/蛋白質2~乳蛋白の合成(2)

酪農コラム/蛋白質2~乳蛋白の合成(2)

(おわり)