酪農コラム/初産牛のロボットパフォーマンス
コラム
搾乳ロボットを使用していて初産牛がロボットになかなか慣れない…という経験はありませんか?
私の感覚では、多くの牛は1週間以内に問題なく搾乳ロボットへ訪問してくれるものの、中には1ヶ月経っても搾乳ロボットに慣れず自発的に訪問してくれないという牛もいる印象です。
そこで、搾乳ロボットへの牛の訪問と乳量等について調査した論文を見てみました。
F.P. Johansenら(2025)の報告では、牛が自発的に搾乳ロボットへ訪問するためには、搾乳ロボットへ訪問すると配合飼料がもらえ、搾乳中は静かに立ち、終了後には退出するという一連の流れを牛が理解する必要があります。牛はストレス環境下では学習効果が低下することから、搾乳ロボットで搾乳されることを牛が学習するには、牛群内での序列や性格が関連しており、牛群内で強い牛&性格が臆病でない牛は、自発的に搾乳するまでの期間が短く、訪問頻度が高い傾向があると報告されていました。
搾乳ロボットにおける初産牛と2産目以上の牛の乳量と搾乳ロボットへの訪問回数をまとめた報告(J.M. Siewertら(2018))では、フリーカウトラフィック、ガイドトラフィックともに、2産目以上の牛よりも初産牛は日乳量や搾乳回数、リフューズ回数が少なくなっていました。
初産牛が2産目以上の牛と同程度にロボットへ訪問するようになるには、分娩後に一定の日数が必要なことが上の2つのグラフからわかります。これは、分娩後のパフォーマンスが抑制されている可能性を示唆し、泌乳初期における初産牛の搾乳ロボットへの適応を改善するためにさらなる調査が必要と報告されていました。
初産牛は、初めての分娩に初めての搾乳、初めての搾乳ロボット、初めての牛との同居など様々なストレス要因があります。そのため自発的にロボットへ訪問したがらない…自発的に訪問してくれないから日乳量が伸びない…という課題があると思います。
分娩後の牛に対するストレスを1つでも減らせるように、初妊牛が分娩する前にロボットへ訪問し、配合飼料をもらえ、退出するという一連の流れを経験させておけば、臆病な牛でも分娩後にスムーズにロボットへ訪問してくれるのでは?と考えました。
実際に、初妊牛が分娩する前にロボットへ馴致させた後の産乳成績などを調査した報告(J.E.Brasierら(2025))では、初回搾乳時の搾乳ロボットへの誘導し易さ、分娩後21日間のロボットパフォーマンスや生産乳量の改善が確認されていました。
ノーサンファームはロボットのフリータイムが28~30%と非常に余裕があるので、実際に初妊牛を分娩前にロボットに誘導すること(馴致)によって、分娩後のロボット訪問回数、生産乳量を調査しました。
次回は、ノーサンファームでの初妊牛におけるロボット馴致の効果について記事を書きたいと思います!
【参考文献】
① F.P.Johansen,S.Buijs,G.Arnott.2025. Social rank and personality are associated with visit frequency in dairy cows learning to use an automatic milking system.Animal.101:446
② J.M.Siewert,J.A.Salfer,M.I.Endres.2018. Milk yield and milking station visits of primiparous versus multiparous cows on automatic milking system farms in the Upper Midwest United States. J. Dairy Sci. 102:3523–3530
③ J.E.Brasier,D.B.Haley,R.Bergeron,T.J.DeVries.2025.Effect of training dairy heifers to an automated milking system before parturition on their adaptation and performance. J. Dairy Sci. TBC
