分娩の管理(1) - 最高のゴールを迎え最良のスタートをきる
コラム
今回から数回にわたって、牛の繁殖の話をしていきたいと思います。酪農家さんや繁殖農家さんにとってはもちろん重要ですが、肥育農家さんにとってもためになる話をしていきたいと思っています。
さて、皆さんの中で「分娩」はどういうポジションでしょうか?飼養形態の違いや、“分娩後の母牛に求めるもの”、“生まれてきた子牛に求めるもの”の違いによって考え方は様々であると思いますが、以下では3つの提案をしたいと思います。それは、
(1)「子牛を獲得する」という目的のゴール
(2)「良い牛に育てる」という目的のスタート
(3)「次の妊娠・分娩」という目的のスタート
というものです。酪農家さんにとっては、ようやく収入が生まれてくる「搾乳のスタート」もあると思いますが、上記3つの目的を意識していけば、自然と分娩後のスムーズな立ち上がりが達成できると思います。ここでは、繁殖と子牛にまつわる話をしていきたいと思います。
上の3つはそれぞれ独立しているものではなく、「母牛」という一つの体の中でお互いに関係しながら達成されるものです。つまり分娩は「ゴールでもありスタートでもある」のですが、ゴールは自然に達成されるものではなく、そこまで頑張って走らなければいけませんし、スタートを何となく迎えてしまっては、そのあと全然スピードに乗れないなんて事にもなり得ます。最高のゴールを迎え、同時に最良のスタートを切るためには、分娩の前からの取り組みが大切になってきます。
次回から具体的に、その取り組むべき内容とその背景知識などをご紹介していきたいと思っています。