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タイセイ飼料株式会社

獣医コラム/初めましてのご挨拶と肢蹄病について

––– ご挨拶 –––
 当コラムをご覧の皆様初めまして。BRAST Livestock Clinic で獣医師をしている 牧野 康太郎 と申します。弊社代表 池田 哲平 からバトンを受け取り、今月からタイセイ飼料様のコラムを担当させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 私自身の簡単な自己紹介をさせていただきますと、今年で獣医師人生11年目を迎えます。日々、ファームコンサルタントとして従事しており、繁殖成績改善/子牛の疾病コントロール/肢蹄病のコントロールを得意としています。本コラムにて何をお伝えすべきか考えておりましたが、お困りの方が多い『肢蹄病のコントロール』についてこれから連載をしていきたいと思います(繁殖成績改善に関してはDairy Japan 2024.02月号 p36-39に掲載されていますので、ご興味がある方はご覧ください)。

––– 肢蹄病とは? –––
 肢蹄病とは何か?と言うところから始めさせていただきますと、『肢(あし)の病気』と『蹄(てい)の病気』に分類されます。

獣医コラム/初めましてのご挨拶と肢蹄病について

 各疾病に関しては、個別の要因と対策があります。

 一度に多くを解説するとあまりに長文になりますので、今後一つ一つ解説をしていこうと思います。

 肢蹄病の解説に先立って、コラムをご覧の皆様に知っていただきたいのは『肢蹄病の経済損失』になります。
 肢蹄病になるとどれだけの経済損失があるのか?皆さんがよく耳にするのは以下の2点かと思います。

・繁殖成績悪化による経済損失
・乳量低下

 上述した2点は大きな経済損失となりますが、実際にはそれ以外にも計上される経済損失があります。

 下記にスペインにおける大規模調査(N = 108,468)の結果をお示しします。
 多くの農場で最も問題となりうる、DD(趾皮膚炎)、蹄底潰瘍、白帯病を主眼にした研究です。
 表に赤文字で記載されている『重度』が跛行牛(足が痛い牛)と考えてください。

獣医コラム/初めましてのご挨拶と肢蹄病について

 上図には乳量低下・繁殖成績悪化という項目以外にも、労働力や淘汰なども経済損失として計上されています。
 全ての項目の経済損失を数値化すると、1年間における1頭当たりの経済損失は以下となります(1$ = 140円で試算)。

・DD:56,350円
・蹄底潰瘍:87,108円
・白帯病:93,702円

 1頭の牛だけでも大きな経済損失が生まれていることがわかりますが、牛群規模で考えると更に大きな経済損失となります。

 仮に、200頭規模の牛群で、10%の牛がDDに罹患していたとします。
 その場合、200頭 ÷ 10 = 20頭がDDとなりますが、上述した経済損失額を掛け合わせると『牛群での年間経済損失額』は以下になります。
* DD 20頭 x 56,350 円 = 1,127,000円(年間)

 上記試算はDDのみに焦点を当てており、その他の肢蹄病を含めると、経済損失がさらに大きなものとなるのは明らかです。

 では、実際にどのような理由で肢蹄病が発生するのか、どう予防していく事が望まれるのか。

 次号より、現場に落とし込んだ話をしていこうと思います。

(文責:牧野 康太郎)