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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/下痢の対策について

~ 下痢の対処をする上で知っておきたい事 ~
生後3-4週齢までの仔牛は、如何に下痢の発症を抑えて早く治せるかが重要で、対処方法を間違えると最悪の場合死亡する事もあります。また症状の重篤化や長期化はその後の発育に大きく負の影響を与えます。
下痢といっても様々な原因となる菌やウイルス、寄生虫があります。今回は下痢の原因となる菌・ウイルス・寄生虫によって起こる下痢のメカニズムをご紹介いたします。このメカニズムを知っておくと下痢の対処や予防に活用できると思います。

表1は簡単にメカニズムをまとめたものになります。

酪農コラム/下痢の対策について

① 正常な腸管内においては、『生体側→腸管内』への分泌と『腸管内→生体側』への吸収のバランス(分泌=吸収)が取れていて正常な便として排泄されます。

② 分泌性下痢においては、主に大腸菌やサルモネラ菌による細菌性下痢の時に起こります。細菌が腸管内へ侵入・感染し毒素を放出する事によって『生体側→腸管内』への分泌が促され、分泌>吸収になる事によって下痢になります。
細菌性下痢においては小腸粘膜細胞へのダメージは無く、『腸管内→生体側』への吸収量は変わらないのでミルクや電解質を通常量吸収できます。分泌を促している細菌を抗生剤治療する事で分泌増加は速やかに減少し、数日で便性状も回復します。
抗生剤治療ですぐに熱発や便性状が改善する下痢の原因は細菌性下痢が大半です。

③ 吸収不良性下痢においては、主にロタウイルス、クリプトスポリジウム、コクシジウムといったウイルス・寄生虫によって引き起こされます。
このウイルス・寄生虫が腸管内に侵入・感染すると小腸粘膜細胞がダメージを受けて萎縮してしまいます。(萎縮すると粘膜細胞の表面積が減少して、吸収力が低下してしまう)
このダメージによって『生体側→腸管内』の分泌量は変わらないのですが、『腸管内→生体側』への吸収量が減少し分泌>吸収になる事によって下痢になります。
吸収不良性下痢の厄介な所は、ロタウイルスやクリプトスポリジウムに対し特効薬となる抗生剤が無いため、『腸管内→生体側』への吸収量の減少を投薬だけでは改善出来ません。小腸粘膜細胞が受けたダメージの大きさにもよりますが、粘膜細胞がターンオーバーして正常な粘膜細胞に戻るまでの1-2週間は軟便や下痢を繰り返します。

④ 浸透圧性下痢においては、未消化タンパク質やデンプンが大量に腸管内に流入する事で浸透圧が上昇し『生体側→腸管内』への分泌が増加するために引き起こされる下痢になります。仔牛では濃度が高すぎるミルクの給与や離乳前後の急激なスターター摂取によって引き起こされます。

今回は下痢のメカニズムをご紹介いたしました。
次回は②.③の下痢についてカーフゲートでの対処方法をご紹介いたします。