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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/視察などでよく質問される事について(4)

 今月は短く3点ほどご紹介できればと思います。

① 虚弱仔牛の対応
 虚弱仔牛は正常仔牛に比べ、すべての面で劣っていると考えられます。
 寒冷・暑熱ストレス、消化吸収能、免疫応答能などです。
 このような仔牛が産まれてしまったら手厚く管理するしかありません。
 カーフゲート(以下、CG)では先ず、導入舎の人の目が良く届く場所(処理室の近く)で管理し、体調の変化を早期発見できるようにします。
 虚弱仔牛の大半は体が小さいので哺乳量も少なめ(2ℓ/回ぐらい)から始めます。飲み残しや消化不良を予防しつつ、1~2週間かけて増給していきます。
 下痢予防のためにヘッドチョイスやメイミューンのような初乳粉末由来の抗体を含む製品と免疫力強化のためにアミノプラス(アミノ酸製剤)も常時給与します。
 また、TSV-3の投与と鉄剤、ESe、ビタミン剤の注射も施します(正常牛には使用しない)。これらの対応でも不十分な時は、牛元気をミトコンパワーリキッドで溶解したものを5~7日間経口投与しています。

② 哺乳ロボットの1ペン当たりの頭数
 哺乳ロボットメーカーによれば、1ドリンクステーションにつき25~30頭、2ドリンクステーション付き哺乳ロボット1台で50~60頭飼養可能と説明されます。
 また、一般的な目安として仔牛1頭当たりの必要面積が3~4㎡必要とされています。
 これらのことを確かめるにあたり、1ペン面積(飼槽側+寝床側)÷頭数=4.0㎡と休息場所面積(寝床側のみ)÷頭数=4.0㎡で疾病の発生率を比べた結果、下痢症については差がありませんでしたが、肺炎は休息場所面積(寝床側のみ)÷頭数=4.0㎡の方が発生を抑えられました。
 次に下痢症抑制のためにドリンクステーションについて着目し、頭数×1日の哺乳回数=必要最低限の出入りの回数、を求めて下痢症の発生を比べました。
 その結果、この数値が60回未満であれば下痢症を低く管理できることが分かりました。
 60回を超えると頭数増加分以上に下痢症の発生率が増加しました。
 20頭×3回哺乳、15頭×4回哺乳、10頭×6回哺乳の同じ60回で比べても、仔牛1頭当たりの必要面積が確保されていれば大きな違いはありませんでした。
 結果として、ドリンクステーション付近での他の仔牛との競合、接触、待機時間などが下痢症発生の大きな原因になると私は考えています。

③ 育成期でのフレーム作り
 一般的にフレーム、特に体高を出すためにはタンパク源の供給強化が効果的とされます。
 通常の配合飼料に大豆粕などを0.1~0.2㎏/日/頭追加すると体高は伸びます。0.3㎏/日/頭以上給与しても便が柔らかくなるだけで+αは望めませんが、更に体高を出したい方は炭カルを30~50g/日/頭追加すると+αを望めます。
 実際CGでは、3~5ヶ月齢はベース配合+0.2㎏+30g、6ヶ月齢以降はベース配合+0.1㎏+50gを給与しています。
 次に肋張りを良くするには、ロール乾草または低水分ロール乾草を長いまま給与した方が、ベールカッターなどで裁断した草を給与するより肋張りが良くなります。5~6ヶ月齢までは柔らかく食べ残しのでない2番草で良いと思います。グラスサイレージなどを使用したTMRは配合飼料が混ざる最低限の量で給与し、乾物摂取量の大半は乾草で賄うと腹が落ちずに肋張りが出ます。この2点を実践してからは、CG在籍牛を共進会に出品してもフレームサイズは見劣りしなくなりました。

― おわりに ―
 今回をもちまして、コラムの掲載を終了することになりました。
 16回にわたりお付き合い頂きありがとうございました。
 また、このような機会を与えてくださいましたタイセイ飼料様にも感謝申し上げます。
 本コラムが皆様の哺育・育成牛管理に少しでもお役に立てれば幸いです。