酪農コラム/分泌性下痢の対処方法
コラム
~ 分泌性下痢の対処方法 ~
仔牛の下痢には感染性下痢と非感染性下痢があり、主たる下痢は感染性下痢になります。この感染性下痢を引き起こす要因は細菌・ウイルス・原虫があり、細菌が引き起こす下痢(細菌性下痢)のメカニズムが分泌性下痢になります。
- 治療方法 -
細菌性下痢の主たるものは大腸菌性下痢で白痢とも言われます。
一般的には抗生物質に対する反応は良好で、2~3日で便性状の回復が見込めます。
抗生物質の反応が悪い場合は、違う病原菌(ロタ・クリプト・サルモネラ等)を疑いましょう。
- 経口補液剤(電解質) -
細菌性下痢にはポカリスウェット的な経口補液剤を使用します。
細菌から放出される毒素を素早く体外に排出するためにも繊維質やオオバコ末の入った経口補液剤(お湯に溶かすとドロッとする物)は使用を控えて下さい。
- 断乳 -
下痢を発症した時の断乳の是非について視察に来られる方にもよく質問されます。
私の考えでは基本朝夕はミルクを給与し、その合間に経口補液剤の給与で十分だと思います。(早期発見が大前提ですが)
発見時の症状が中度であれば、1回ミルクを断乳し経口補液剤に置き換えます。
重度の低体温、起立難渋時はすぐに輸液をして下さい。仔牛の場合、皮下や腹腔内輸液はお勧めいたしません。例外もありますが、子牛の体力維持のためにも1日1回はミルクを与えるようにし、飲む力が弱い時には2時間程カーフウォーマーで温めてから経口補液剤を給与します。温め終わった直後が自力哺乳のチャンスですので飲みたいだけ飲ますと予後の回復が早くなります。
子牛の下痢は多種多様な原因が関係していて病状も千差万別です。ですが8割程度の下痢を症状別に同じ内容・流れでカバーできる対処方法を確立すると、作業者が変わっても重症化を防ぐ事が出来ると思います。
今回、経口補液剤の中身や感染リスクの低減についても触れたかったのですが、別の機会にさせて頂きます。
次回は吸収不良性下痢のクリプトスポリジウム症の対処方法になります。