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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム /「水-安い栄養素?(2)」

「水-安い栄養素?」(全3回)の2回目です。

水の要求量

 動物が水を獲得する方法は、①飲み水、②飼料に含まれる水、③体内の代謝で発生する水、の3種類があります。乳牛の水の摂取量は、乾物摂取量、飼料の種類、乳量、気温、湿度などが影響します。

 飲水行動には、摂食パターン、水温、水槽かウォーターカップか、ウォーターカップであれば流量、繋ぎ牛舎の場合は隣の牛との優劣が影響します。飼料中の水は、粗飼料の種類(放牧草やサイレージ、乾草)や、使われている飼料原料に左右されます。水の供給に問題がある牛舎においては、飼料中の水分は非常に重要になります。(水を飲みづらい状況は繋ぎ牛舎に多く見られます)。

 体内の代謝で発生する水とは、炭水化物、蛋白質、脂肪が体内で異化(酸化)される際に生成されるものです。具体的には、100gの炭水化物を酸化する過程では60gの水が、100gの蛋白質では41gの水が、100gの脂肪では107gの水が発生します。しかし、代謝で発生する水をすべて合計しても、飲水や飼料中の水から摂取される量に比べれば多くはありません。羊では、代謝水の総量は1日に250㎖程度と推定されています。クマなど冬眠する動物では、代謝水は重要な水の供給減となりますし、長期間にわたってエサを食べられない場合や病気の場合にも代謝水の重要度は高まります。なお、蛋白質と脂肪の酸化経路においては水のロスがあります。蛋白質からは脱アミノ反応により尿素が生成され、これを排出するために水が必要となるため、ロスとなります。実際には、脱アミノ反応で必要となるよりも多くの量の水が、尿素などの排出のために必要となります。

 これらの理由からわかるように、蛋白質をたくさん摂取するほど、水の要求量は多くなります。脂肪が体内で酸化されるときには動物の呼吸が増加するため、呼吸によって排出される水が増えます。このため、脂肪から作られるトータルの水の量は、単純に脂肪を酸化してできる水の量よりも少なくなります。

酪農コラム /「水-安い栄養素?(2)」

色々な要因での飲水量の変化

 ある動物が消費する水の量には、いろいろな要因が影響します。年齢、体重、生産量、気候(気温と湿度)、飼料の種類、摂取するミネラル含量などが要因となります。

 動物が摂取するミネラルが増えると、水の要求量は増加します。維持量に相当する飼料を給与された(増体重のない)去勢牛では1日に15~20ℓを消費しますが、肥育牛ではその2倍にもなります。乾乳牛では通常40ℓの水を飲みますが、40kgの乳を生産する乳牛では100ℓ以上の水を飲みます。乳量には乾物摂取量が大きく影響し、乾物摂取量には水の摂取量が大きく影響します。

酪農コラム /「水-安い栄養素?(2)」

水の質(水温)

 世界には、きれいな水を手に入れるのが難しい地域が多くありますが、日本ではほとんどの場合、良質な水をふんだんに利用できます。このため、牛への水の供給に問題があるケースでは、ほとんどが牧場内での水のデリバリー(水のタンク、配管、水槽など)に問題が見られます。

 良質の水は最も重要度が高いものですが、多くの酪農家がこれを見落としています。溶解しているミネラルによって、水は硬水と軟水に分けられます。硬水を処理して軟水にしたほうが乳量が増えるという意見もありますが、そうではないことがわかっています。

 水の摂取量は乾物摂取量と関連しています。一般に、乾物摂取量が1kg増えると4ℓの水を必要としますが、夏季や高泌乳牛では乾物摂取量1kgに対して6ℓ以上の水を必要とします。

 牛が通常、好んで飲むのは温度が10~20℃の水です。1980年代にスウェーデンで行われた研究では、繋ぎ飼いの泌乳牛に3~24℃の水を与えたところ、24℃の水では飲水量が低下し、3℃の水では乳量が低下しました。乳量低下の原因は、体温よりも極端に低い温度の水を体内で温めることにエネルギーが使われたためと考えられます。

 寒い冬の時期においては、適切な温度の水を飲ませることは、とくに子牛や病気などで弱っている牛には大事な事です。分娩直後の母牛に体温に近い温水を与えることはルーメンと体温の維持に有効で、泌乳への移行をスムーズにします。分娩に伴う大量の水のロス、初乳とそれに続く泌乳により水を失うことが、牧場で見られる分娩直後の問題の多くに関係しています。

酪農コラム /「水-安い栄養素?(2)」

(次回へ続きます)