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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/蛋白質1~非蛋白態窒素の利用~(1)

はじめに
炭水化物と脂肪は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の多様な組み合わせで構成されております。一方、蛋白質はこれらの他に窒素(N)も含まれます。この4つの元素は、空気や地殻、動物、ヒトの体の中に豊富に存在します。一部の蛋白質には、イオウ、リン、鉄が含まれています。窒素は地球上で最も豊富な元素であり、大気の70%以上を占めます。窒素は、1770年代にスコットランドの科学者によって発見されました。一方、蛋白質は、1830年代にオランダおよびスウェーデンの研究者によって説明され、名付けられました。蛋白質は、ギリシャ語の“proteios”を語源としており、“最も重要な栄養”という意味です。蛋白質は、全ての代謝や体の機能に重要な役割を果たします(アミノ酸、核酸(DNA、RNA)、酵素、ホルモン、抗体など)。

 炭水化物は体内に蓄積できませんが、蛋白質は体内に蓄積されます(筋肉、靭帯など)。実際、ヒトや動物の体における蛋白質の含有量は、誕生から成熟までほとんど変わりません(子牛=19%、未経産牛=18%、成牛=18%)。しかし蛋白質の要求量は、誕生から成熟において要求される増体率および生産要因(乳、肉、毛、労働など)によって大きく変化します。

 粗蛋白質(CP:Crude Protein)の分析は、1850年代にドイツで発展しました。その計算方法は、「窒素×6.25」です。全ての蛋白質には、16%の窒素が含まれているといわれいて、100/16=6.25となっております。この数値は、様々な食べ物や飼料の粗蛋白質を評価するために現在も広く使われております。しかし、これは全ての蛋白質に当てはまるわけではなく、乳蛋白質では6.38です。粗蛋白質の計算には欠点があります。それは、窒素×6.25だけでは蛋白質の品質を識別できないことです。例えば、非蛋白態窒素(NPN:Non-Protein Nitrogen)と純蛋白質(TP:True-Protein)の違いです。

酪農コラム/蛋白質1~非蛋白態窒素の利用~(1)

植物と窒素の利用
土壌中の窒素は、3つの形態で存在しています:有機窒素化合物、アンモニウムイオン(NH4+)、硝酸イオン(NO3-)。土壌中で利用される窒素の95~99%は、植物や動物の残留物、土壌の有機物、または、バクテリアのような土壌中に住む微生物であり、有機物の形態です。この窒素は、植物に直接利用されるのではなく、一部は微生物によって利用できる形に変換されます。一部の有機窒素は、尿素として存在しており、植物に利用されることもあります。植物が利用できる窒素の大部分は、無機物(NH4+、NO3-)です。

 マメ科の植物は、土壌中と大気中から窒素を利用することができます。マメ科植物(アルファルファ、クローバー、マメ、レンズマメ、ルーピン、エンドウ、ピーナッツ、大豆など)は、根に形成されている粒状の塊の中に「根粒菌」と呼ばれる共生微生物を宿しています。これらの微生物は、大気の窒素(N2)をアンモニア(NH3)に固定する特別な能力を持っています。この根粒菌と植物の共生関係は、マメ科植物の高蛋白質の源となります。

 一方イネ科の植物は、主に土壌中の窒素のみを利用しますが、大気中の窒素も一部使う事が出来ます。それは落雷によって大気中の窒素が田畑に固着されるためです。“落雷した稲穂は良く実る”という理解が生まれ、雷と稲を関連付けて“稲妻”と言われています。

 植物の主な栄養は、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)です。農家さんは、このNPKを「ば・か・ね()」と言います。「ば・Nは葉」、「か・Pは花」、「ね・Kは根」の成長に必要な栄養素です。植物の成長には、N・P・Kだけでなく他の栄養も重要です。

酪農コラム/蛋白質1~非蛋白態窒素の利用~(1)

酪農コラム/蛋白質1~非蛋白態窒素の利用~(1)

 植物は、窒素源と一緒にC・H・Oを利用して、様々な種類のアミノ酸(20種類以上)を合成します。アミノ酸は、ビーズのようなものです。このビーズ(アミノ酸)は、様々な長さや形態のネックレスに組み立てられます。そのネックレスは蛋白質です。例えば、トウモロコシの蛋白質は“ゼイン”、小麦の蛋白質は“グルテン”と呼ばれています。これらの蛋白質は、「純蛋白質(TP)」といわれます。植物が成長している時は、TPは少なく、「非蛋白態窒素(NPN)」が存在しています。NPNは、硝酸イオン、ペプチド、アミド、アミン、核酸、遊離アミノ酸などです(遊離アミノ酸は、ネックレスに繋がらずに一つで存在するため、非蛋白質になります)。

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