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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/蛋白質~非蛋白態窒素の利用~(2)

硝酸イオン(NO3-)
硝酸イオンは、時々、粗飼料中に高濃度で発生します。しかし、飼料の穀物中に発生するのはごくわずかです。植物における硝酸イオン濃度は、土壌、植物、季節(干ばつ、霜)、または使用した肥料、堆肥に影響されます。青刈りトウモロコシやスーダングラスは、高濃度の硝酸イオンを蓄積することが知られております。一方、アルファルファ、チモシー、およびブロームグラスはあまり蓄積しません。

 水は、土壌、肥料、飼育場、市や民間の汚水処理システム、および産業活動から由来する硝酸イオンのもう一つの重要な輸送体となります。

 硝酸イオン(NO3-)は、ルーメンで亜硝酸イオン(NO2-)に変換されます。高濃度の亜硝酸イオンは、動物にとって毒となります。それは、一度、亜硝酸が血液中に吸収されると、ヘモグロビンと結合し酸素を運搬できなくなるためです。これによって、窒息したり死に至ります。亜硝酸イオンが低濃度の場合は、亜硝酸がアンモニアに変換されます。ルーメン内微生物は、そのアンモニアとNFCを利用し、微生物態蛋白質を作ります。硝酸イオンの毒性は、NFC(非繊維性炭水化物)が低い飼料を給与された動物ではより顕著です。

現場の実例
 過去に日本で、輸入粗飼料を給与された、または堆肥の貯蔵場所付近で放牧された乳牛で硝酸イオンによる毒性の問題がありました。また、2007年4月に高濃度の硝酸態窒素を含むスーダングラスの給与により、長野県と岐阜県で乳牛8頭が死亡した事例がありました。(農林水産省19消安、第1297号)

 高いNFCの飼料では、ルーメン微生物は微生物蛋白質の窒素源として硝酸イオンを利用することができます。飼料には、硝酸イオン500ppm、または乾物0.2%を超えないといった指標があります(例:乾物22kg×0.2%=44g/日)。

酪農コラム/蛋白質~非蛋白態窒素の利用~(2)

尿素
 尿素は、一般的に窒素肥料として利用されます。一般的に窒素肥料として利用されています。ヒトや動物の体では、尿素は、蛋白質代謝の副産物としていつも作られています。この蛋白質代謝の評価するために血液中の尿素態窒素(BUN:Blood Urea Nitrogen)を測定します。非反芻動物は、尿素をアンモニアに転換するシステムを持っていません。そのため、尿素の毒性に対して低い感受性を示します。

 反芻動物における尿素給与の多くの研究は1960年代から行われています。尿素には窒素が46%(CP287%)が含まれており、安価な窒素源として世界中で利用されています。

 尿素はルーメンにおいて急速に微生物のウレアーゼにより加水分解され、アンモニアと二酸化炭素になります。そしてアンモニアはNFC源と共に菌体蛋白質を構成します。過剰な尿素の加水分解によるアンモニアの急速な放出は、ルーメンpHを上昇させ、アルカローシスへと導きます。アルカローシスの環境下では、アンモニアの吸収が増加し、血中のpHもアルカリ性になり、中毒で死亡する可能性があります。

 尿素の上手な利用法のひとつとして、「尿素・糖蜜ブロック」があります。糖蜜、尿素およびその他の原料を混合し、ブロック状に成形されたものです。このブロックを動物に舐めさせることで、安価な窒素源を供給することができます。この方法は尿素の過剰摂取のリスクを減らすことができます。世界中の多くの反芻動物の給与試験において、より高い成長率および乳量の増加が報告されています。

 しかし、尿素の給与における不適切な取り扱いや誤解は、生理的な問題(繁殖や飼料摂取量の低下)や尿素中毒を起こし、ときには動物を死に至らしめる可能性もあります。そのため、飼料に尿素を添加する前に、適切な飼料の割合(TMRなど)、飼料中のNFC・CP含量、MUN(Milk Urea Nitrogen:乳汁尿素態窒素)、乳量を注意深くモニターすべきです。

酪農コラム/蛋白質~非蛋白態窒素の利用~(2)

酪農コラム/蛋白質~非蛋白態窒素の利用~(2)

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