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北海道十勝地方における飼料の専門会社。安全、安心な飼料ご提供を第一に、畜産家の皆様や消費者の皆様のご要望にお応えします。

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タイセイ飼料株式会社

獣医/機能性飼料素材 (3)

––– 病原微生物や毒素による悪影響 –––
 ウシの飼料、特に工場生産ではない自給飼料は、畑での収穫作業やサイレージ化する際の詰め込み作業など、多くの過程で病原微生物に曝されやすくなっています。乳酸発酵によってpHを下げるサイレージ処理は、それら病原微生物を不活化させ飼料を長期保存する手段として非常に有効です。しかし、どれほど衛生的な食品工場で加工を行っても消費期限がある通り、畜産酪農現場でも病原微生物をゼロにすることは不可能であり、家畜は常に病原微生物からの攻撃を受けていることになります。その様な中で、もし細菌やカビ=真菌が大量に混入してしまったり、詰め込み・密閉充填が甘く嫌気発酵がうまく進まないと、飼料中ではより多くの病原微生物が増殖したり腐敗によって栄養素が失われてしまい、その様な飼料を食べたウシが健康を損ねる原因となります。

 また、ウシの飼養環境は私たちが生活する環境よりも非常に多くの微生物に溢れており、中にはウシに感染することで重篤な症状を引き起こす病原微生物や寄生虫が存在します。特に生まれて間もない幼弱な新生子牛の場合は免疫機能も未発達であり、成牛では問題にならない量の病原微生物や寄生虫の感染であっても死に至るケースは少なくありません。また、病原微生物は抗生物質などによって殺菌できたとしても、そこから産生される毒素が残り続けることで生体に大きなダメージを与えることもあります。

 これは逆に言うと、病原微生物やその毒素による悪影響を十分抑えることができれば、同じ飼料を食べていても乳量が増えたり体重が増加しやすくなるなど生産性の向上に大きく役立つ、とも言えます。

––– 病原微生物や毒素を抑える方法 –––
 では、飼料や環境由来の病原微生物や毒素による悪影響を避けるには、どうすれば良いのでしょうか?

 答えはシンプルに大きく二つあり、一つは「生体内に入ってくる量を少なくすること」、もう一つは「生体に入ったとしても機能しない様に不活化すること」です。

 まず一つ目の「生体内に入ってくる量を少なくすること」ですが、これには飼料や環境の衛生度を上げることが最重要です。飼料作物の刈り取りの際に土の混入を抑えて清潔な状態で刈り取り、綺麗に清掃されたバンカーへ詰め込むことで栄養価の高い発酵飼料の生産に取り組むことは、病原微生物の侵入と増殖を抑える上で非常に重要です。また、ウシの飼養環境を常に衛生的に維持することも併せて重要です。これは生後間もない子牛において特に気をつけたい点であり、子牛が生まれる環境やその後の飼育環境を衛生的にすることについて言い過ぎだということはありません。

 この一つ目が何より重要であり、もしウシに侵入する病原微生物やその毒素の量が多ければ、場合によってはその後のどの様な対策でも効果が認められないというケースは珍しくありません。まずはウシの口から侵入する病原微生物や毒素を抑えることを意識しましょう。

 その上で二つ目の方法として、「生体に侵入したとしても機能しない様に不活化すること」は有効です。病原微生物やその毒素は、どんなに気をつけていてもウシの体内に侵入してきますが、それらが生体に悪影響を及ぼさないように不活化できれば、ウシの健康は維持されます。

 この不活化効果を期待して利用されるものが、広く「吸着剤」と呼ばれるものであり、飼料に混ぜて使うことで病原微生物や毒素による悪影響を抑えてくれます。

––– 吸着剤の種類 –––
 吸着剤は「カビ毒吸着剤」と限定的に言われることも珍しくありませんが、吸着できるものは(製品によりますが)決してカビ毒に限りません。病原微生物や毒素の吸着剤としては、国内では主に以下の2種類が広く利用されています。

 ・鉱物系吸着剤:ベントナイト・ゼオライト・モンモリロナイト、など

 ・酵母壁系吸着剤:βグルカン、マンナンオリゴ糖、など

 それぞれに特徴や強みがあり、吸着効果以外にも生体にとってメリットを発揮する製品もあります。次回以降、詳しく紹介したいと思います。