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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/初乳給与方法について

皆さん、こんにちは。
第2回目は初乳給与方法についてのお話です。

現在カーフゲートは生後3日目以降のホル雌仔牛を年間1,800頭程度受け入れていますが、直接初乳給与する事は出来ません。そのため、預託者には預ける仔牛1頭毎に初乳の給与量・時間等を導入記録表(図1)に記入し集荷時に提出するようお願いしています。また、仔牛の導入時には血液のTP値を屈折糖度計・遠心分離機を用いて測定し、FTP(受動免疫移行不全)牛の摘発、以後の管理で注意する事としています。

↓ 導入記録表(図1)

酪農コラム/初乳給与方法について

本題ですが、この2つのデータ(導入記録表とTP値)を照らし合わせることで、初乳給与方法で注意する点がありますのでお伝えさせていただきます。
(以後の量などはホルスタインを前提として書かせて頂きます。)

① 生後1回目の初乳給与量が多ければTP値が必ず高いとは限らない。
元気な仔牛であれば生後1回目の哺乳で3~4ℓは初乳を飲んでくれますが、生後24時間以内の2回目、3回目の初乳を飲みきれない又はまったく飲まないとなるとTP値が低くなります。吸収率でいえば1回目の量は一番重要ですが、2、3回目の初乳給与がTP値の底上げになります。また1回目に飲めるだけ初乳を給与すると誤嚥をおこしやすく、誤嚥性肺炎にも繋がります。24時間以内にトータル何ℓの初乳を飲ませられるかも重要ですので、仔牛の状態や体格等を考慮して飲み止まらない量をお勧めします。

② 初産牛の初乳を給与した仔牛はTP値が低い。
これは皆さんご承知だと思いますので、初産牛の初乳を使用しなければならない場合は粉末初乳1袋程度を添加して下さい。
私の場合、初産初乳については移行乳として生後2~7日目の仔牛に使用し、軽度な下痢牛にも1~2回スポットで使用することで、下痢止めや抗生剤を使用するよりも早く治る感覚があります。

③ 粉末初乳の1回給与ではTP値が最も低い。
ヨーネ病等が発生している農場では生初乳の使用が出来ない場合があり、パスチャライズするか粉末初乳の二択になる訳ですが、粉末初乳はとても高価な物です。  1回目に粉末初乳2袋を給与し、2回目以降粉ミルクで飼養した仔牛は検査した中では一番低いTP値でした。①のように24時間以内の2,3回目の初乳給与がないためにTP値の底上げが出来ず、FTP牛が散発しました。一度下痢や肺炎に罹ると長期の治療が必要になり、増体にも影響がでたため農家と相談の上、経費はふえますが、2,3回目の哺乳にも粉末初乳2袋ずつ使用することで改善できました。

④ カテーテル(ストマックチューブ)で給与した仔牛はTP値が低い。
難産等で哺乳欲をみせない仔牛には、カテーテルを使用すると思いますが、乳首哺乳した仔牛(同量)より低くなります。生後4~6時間程度を目安にして、なるべく乳首哺乳で初乳給与して下さい。また、哺乳欲のある元気な仔牛に対しても早く給与する目的として使用する事もTP値が低くなりますのでご注意ください。  (初回初乳を全頭カテーテルで給与する農家を乳首哺乳に変更するだけでTP値が平均値まで上がった経験もあります。)

~まとめ~
私の感覚では経産牛初乳を24時間以内に7~8ℓ乳首哺乳で飲ませられればTP値は問題ないと思っています。初乳のBrix値を計測する事もひと手間ですので、初乳に不安があれば粉末初乳を足すという事でFTPを回避できると思います。初乳給与だけで全頭エクセレントなTP値を目指すのであれば手間も経費も膨大になりますので、仔牛の事も考慮した乾乳期の飼料設計を行い、毛艶が良く、胸腺の大きい仔牛を生ますことが全頭エクセレントへの近道だと思います。