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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/炭水化物4~乳糖の生成(1)

はじめに
 ミルクと言えば白い液体を連想します。市場では、ミルクと言われる様々な飲料を目にする事が出来ます。例えば豆乳、米乳、ココナッツミルク、アーモンドミルク、そのほかにも様々なフレーバーを添加したミルク製品があります。それでは、自然な乳とはどんなものでしょうか?乳は水、炭水化物、脂肪、たんぱく質、ミネラル、ビタミン、その他の微量成分が混ざっているものです。微量成分は生まれた子牛に免疫や疾病への抵抗性を与えるために重要な役割を果たします。

 乳糖(ラクトース、Lactose)は「乳中の糖」を示すラテン語です。乳糖の構造と機能に関する最初の研究は16~18世紀にヨーロッパ(イタリア、スウェーデン、ドイツ、フランス)で行われました。その後も食品や飼料への有効な乳糖の使い方や新たな機能について膨大な研究が行われています。

酪農コラム/炭水化物4~乳糖の生成(1)

 地球上には5,000種以上のほ乳類がいますが、乳生産を目的として家畜化されているのはわずか数種類です。FAO(国連食料農業機関)による直近の統計によると、世界で生産される乳の内訳は牛83%、水牛13%、山羊2%、羊1%、ラクダ0.3%で、わずかにウマ科の動物(馬とロバ)、ヤク、トナカイとなっています。地域や国によって、家畜の種類の比率と重要度は大きく異なり、その最も大きな原因は水と飼料が利用できるか、そして気候です。その他にも、その地域のマーケットの需要と食習慣や社会的慣習が影響するかもしれません。

 牛は幅広く様々な環境で飼育されていますが、それ以外の種は他のタイプの農業が難しい場所においても乳生産を可能にしています。地中海周辺の乾燥した地域では羊の乳生産が、アフリカのやせた土地では山羊の、中央アジアの大草原では馬の、砂漠などではラクダの、湿潤な熱帯地域では水牛の、チベットのような高地ではヤクの乳生産が行われています。日本における乳生産はほとんどが牛で、わずかに山羊のものです。最近の農林水産省の統計では、ホルスタインが137万8092頭、ジャージーが1万669頭でブラウンスイスとガンジーは小数頭です。

酪農コラム/炭水化物4~乳糖の生成(1)

乳糖(ラクトース)の合成
 通常、乳糖を生成すると乳を生産することになります。生まれた子にとって乳糖はエネルギー源となります。

 多くのほ乳類において乳中の主な炭水化物は乳糖です。例外もあり、カンガルーのような有袋類の乳は乳糖よりもトリサッカライド(三糖類、グルコース+ガラクトース+ガラクトース)を多く含みます。乳中の乳糖の割合は動物の種によって0~8%と大きく異なります。

 乳糖は、乳以外に含まれることはほとんどないことが知られており、授乳期のほ乳類の雌の乳腺でのみ生成されます。ただし人間を含め、いくつかの動物種では雄でも特殊な状況において泌乳することが知られています。これはホルモンバランスの異常や乳腺組織の腫瘍やエストロジェンという乳腺の発達に重用なホルモンに似た形のカビ毒が原因で発生します。過去にはいくつかの植物が乳糖を生成するとされていましたが、現在では間違いであることが確認されています。

 いくつかの動物種において乳成分には類似性が見られ、山羊と羊の乳成分は良く似ていて海に住むほ乳類とは大きく異なります。これは子が必要な栄養というだけの理由ではなく、進化の過程における遺産とも言えます。海に住むほ乳類はほ乳期間が短いことから乳脂肪が非常に多く含まれています。アシカなどいくつかの種の乳には乳糖が全く含まれておらず、乳中の浸透圧はミネラルによって保たれています。ホッキョクグマやカンガルーなどの冬眠する動物は、冬眠中に出産します。哺乳中に親の身体の水分保持するため、乳頭が少なくなっています。牛は分娩後、様々な疾病に罹患します。牛は乳糖が高いので、水が十分に摂取出来ない状態で搾乳し続ければ、身体が水不足になります。

酪農コラム/炭水化物4~乳糖の生成(1)

酪農コラム/炭水化物4~乳糖の生成(1)

(つづきます)