トピックス

北海道十勝地方における飼料の専門会社。安全、安心な飼料ご提供を第一に、畜産家の皆様や消費者の皆様のご要望にお応えします。

  1. home

会社案内

タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/ケトーシス(前半)

 よく農場で遭遇する病気のひとつにケトーシスという病気があります。
 前回、第四胃変位の要因のひとつとしても挙げられていた病気です。分娩後1~2か月以内に発生することが多く、他の病気や乳量低下・繁殖成績不振に関わっています。

・ネガティブエネルギーバランス(negative energy balance:負のエネルギーバランス)
 ケトーシスの発生は多くのケースでエネルギー不足に由来します。「ネガティブエネルギーバランス」という言葉が良く使われており、身体の維持や乳生産に必要なエネルギーを十分に摂取できていない状態を意味しています。

 飼料の摂取量そのものが不足している場合や飼料の栄養濃度が低い場合にエネルギー不足に陥りやすく、採食量の確保や栄養濃度の増やし方などが対策として考えることができます。

 丁度よい濃度の飼料を十分に食べて健康を維持するのがベストですが、牛にとってお産の前後では泌乳の開始など様々な状況の変化があり、大きなストレスを受けています。分娩という大仕事を終えたばかりの牛に痩せないように食べてほしいと願うのは、やや人間の身勝手かもしれません。
 
・毎日フルマラソン
 搾乳牛が牛乳を生産するのに必要なエネルギーは、42.195㎞を走るフルマラソンにおける消費エネルギーに例えられることがあります。成人女性がフルマラソンを1回走るための消費カロリーは基礎代謝(体を維持するためのエネルギー量)の約2倍になります。搾乳牛は産乳量によりますが人におけるフルマラソン1~2回分のエネルギーを毎日、身体の外に出していることになります。このようにアスリートも顔負けの搾乳牛です、彼女たちが食べやすくなるような体調管理・食餌管理が大切になってくることは想像に難くないのではないでしょうか。

酪農コラム/ケトーシス(前半)

・牛は体脂肪を使うのが苦手
 通常、生き物はエネルギー不足になると体に蓄えたエネルギー(脂肪など)を利用して補います。本来、粗食な草食動物である牛にとっては、家畜として飼育されるようになるまで「脂肪の蓄積」の経験が乏しいまま進化してきたと考えられています。そのため脂肪を利用する(=分解してエネルギーを取り出す)ことがあまり得意ではありません。エネルギー不足が長期間続くと脂肪が肝臓に蓄積しやすく、いわゆる脂肪肝・肝機能障害になりやすい生き物なのです。

 このように搾乳牛はエネルギー不足に陥りやすく、そのエネルギー不足を補うのは不得意という特徴を持っています。そのような中、引き起こされるケトーシスという病気について次回もう少しお話ししていきたいと思います。